$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

$R$ を環, $M$, $M'$ を左 $R$ 加群, $f:M\rightarrow M'$ を $R$ 上の準同型写像とする. このとき, $f$ が単射であるための必要十分条件は, $\ker{f}=\{0\}$ であることを証明せよ.

解答例 1

$f$ が単射であると仮定する. $f(0)=0$ より, $0\in\ker{f}$. すなわち, $\{0\}\subseteq\ker{f}$. 逆の包含関係を示すために, $x\in\ker{f}$ とする. そのとき, $f(x)=0$ である. $f(0)=0$ であるから, $f(x)=f(0)$ となる. $f$ が単射であるという仮定から, $x=0$. ゆえに, $\ker{f}\subseteq\{0\}$. したがって, $\ker{f}=\{0\}$.

逆に, $\ker{f}=\{0\}$ と仮定する. $x$, $y\in M$ とし, $f(x)=f(y)$ であるとする. $f$ が $R$ 準同型であることから, $$ f(x-y) = f(x) - f(y) = 0. $$ $\ker{f}$ の定義と仮定から, $$ x-y\in\ker{f} = \{0\}. $$ ゆえに, $x-y=0$. すなわち, $x=y$. したがって, $f$ は単射である.

最終更新日:2011年11月02日

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