$R$ を環とし, $R^{\times}$ を $R$ の単元全体からなる集合とする. $R^{\times}$ は, その乗法を $R$ の元の積で定義することによって群をなすことを確かめよ.
解答例 1
$R$ の単元全体を $R^{\times}$ とおく.
$x$, $y\in R^{\times}$ とする. $x$ は $R$ の単元だから, $R$ における $x$ の逆元 $x^{-1}$ が存在する. 同様に, $y$ は $R$ の単元だから, $R$ における $y$ の逆元 $y^{-1}$ が存在する. $1$ を $R$ の単位元とすると, \begin{align*} & (y^{-1}x^{-1})(xy) = y^{-1}(x^{-1}x)y^{-1} = yy^{-1} = 1, \\ & (xy)(y^{-1}x^{-1}) = x(yy^{-1})x^{-1} = xx^{-1} = 1. \end{align*} であるから, $xy$ は $R$ の単元である. すなわち, $xy\in R^{\times}$. よって, $R^{\times}$ の乗法 $$ R^{\times}\times R^{\times} \longrightarrow R^{\times}, \quad (x, y) \longmapsto xy $$ が定まる.
$R^{\times}$ が乗法に関して結合法則を満たすことは, $R$ が乗法に関して結合法則を満たすことから従う. $R$ の単位元 $1$ が $R^{\times}$ の単位元になる. さらに, 任意の $x\in R^{\times}$ に対して, $R$ における $x$ の逆元 $x^{-1}$ もまた $R^{\times}$ の元であり, $R^{\times}$ における $x$ の逆元になる.
最終更新日:2011年11月02日