$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

単純環上の全行列環は単純環であることを証明せよ.

解答例 1

$R$ を環, $M_n(R)$ を $R$ 上の $n$ 次全行列環とする.

$R$ が単純環であると仮定する. $\mathfrak{J}$ を $M_{n}(R)$ の両側イデアルとする. このとき, $R$ の両側イデアル $I$ で, $\mathfrak{J}=M_{n}(I)$ となるものが存在する. ここで, $M_{n}(I)$ は $I$ の元を成分とする $n$ 次正方行列全体である. 仮定より, $I=\{0\}$ または $I=R$ である. よって, $M_{n}(I)=\{O\}$ または $M_{n}(I)=M_{n}(R)$ となる. すなわち, $\mathfrak{J}=\{O\}$ または $\mathfrak{J}=M_{n}(R)$. したがって, $M_{n}(R)$ の両側イデアルは零イデアルと $M_{n}(R)$ 自身しかない.

最終更新日:2011年11月02日

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