$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

$R$ を環, $I$ を $R$ の両側イデアルとする. また, $\mathfrak{m}$ を $R$ の Jacobson 根基, $\mathfrak{n}$ を剰余環 $R/I$ の Jacobson 根基とする. このとき, $$ I\subseteq\mathfrak{m} \Longrightarrow \mathfrak{n}=\mathfrak{m}/I $$ が成り立つことを証明せよ.

解答例 1

$I\subseteq\mathfrak{m}$ と仮定する. そのとき, $R/I$ の両側イデアル $\mathfrak{m}/I = \{ x+I \mid x\in\mathfrak{m} \}$ が定まる.

$\Omega$ を $R$ の左イデアルで $I$ を含むもの全体とする. $R/I$ の左イデアル全体は $\{J/I\mid J\in\Omega\}$ である. 任意の $J_{1}$, $J_{2}\in\Omega$ に対して, $J_{1}/I$, $J_{2}/I$ は $R/I$ の左イデアルであり, $$ J_{1}/I\subseteq J_{2}/I \Longleftrightarrow J_{1}\subseteq J_{2} $$ が成り立つ. 特に, 任意の $J\in\Omega$ に対して, $$ \mbox{$J/I$ が $R/I$ の極大左イデアル} \Longleftrightarrow \mbox{$J$ が $I$ を含む $R$ の極大左イデアル}. $$ $\mathfrak{m}$ は $R$ の極大左イデアルすべての共通部分なので, $I\subseteq\mathfrak{m}$ という仮定から, $$ \mbox{$J/I$ が $R/I$ の極大左イデアル} \Longleftrightarrow \mbox{$J$ が $R$ の極大左イデアル}. $$ ゆえに, $\mathcal{M}$ を $R$ の極大左イデアル全体とすれば, $R/I$ の極大左イデアル全体は $\{L/I\mid L\in\mathcal{M}\}$ に一致する. したがって, $$ \mathfrak{m}/I = \left(\bigcap_{L\in\mathcal{M}}L\right)/I = \bigcap_{L\in\mathcal{M}}(L/I) = \mathfrak{n} $$ が成り立つ.

最終更新日:2011年11月02日

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