環のイデアルの定義を述べよ.
解答例 1
$R$ を環, $I$ を $R$ の空でない部分集合とする. $I$ が次の条件を満たすとき, $I$ を $R$ の左イデアルという.
(i) 任意の $x$, $y\in I$ に対して, $x-y\in I$.
(ii) 任意の $x\in I$, $r\in R$ に対して, $rx\in I$.
なお, 条件 (i) は, $I$ が加法について $R$ の部分群であることと同値である.
条件 (ii) の代わりに,
(ii$'$) 任意の $x\in I$, $r\in R$ に対して, $xr\in I$.
を満たすとき, $I$ を $R$ の右イデアルという.
$I$ が左イデアルかつ右イデアルであるとき, $I$ は $R$ の両側イデアル, あるいは単にイデアルという.
$R$ が可換環である場合には, 左イデアル, 右イデアル, 両側イデアルの概念はすべて一致する.
$R$ を環とする. $\{0\}$ は $R$ の両側イデアルである. これを零イデアルという. また, $R$ 自身は $R$ の両側イデアルである. これらを自明なイデアルという. それ以外の $R$ の左イデアルを真の左イデアルという. 真の右イデアル, 真の両側イデアルも同様に定義される.
最終更新日:2011年11月02日