$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

Keywords: Schur の補題, シューアの補題

$R$ を環, $M$, $N$ を左 $R$ 加群, $f:M\rightarrow N$ を $R$ 準同型写像とする. $M$, $N$ がともに単純ならば, $f$ は零写像または $R$ 同型写像である. このことを証明せよ.

解答例 1

$f\neq 0$ とする. $f(M)$ は $N$ の部分左 $R$ 加群であるが, $N$ は単純だから, $f(M)=0$ または $f(M)=N$ である. ところが, $f\neq 0$ としたから, $f(M)\neq 0$. ゆえに, $f(M)=N$ となる. よって, $f$ は全射である. また, $\ker f$ は $M$ の 部分左 $R$ 加群であるが, $M$ は単純だから, $\ker{f}=0$ または $\ker{f}=M$ である. ところが, $f\neq 0$ としたから, $\ker{f}\neq M$. ゆえに, $\ker{f}=0$ となる. よって, $f$ は単射である. したがって, $f$ は $R$ 同型写像である.

最終更新日:2011年11月02日

©2003-2011 よしいず