$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

$p$ を素数とする. $R$ を標数 $p$ の環とする. $x_{1}$, $x_{2}$, $\ldots$, $x_{m}\in R$ とし, 積について互いに可換であるとする. このとき, 任意の正の整数 $n$ に対して, \begin{equation} (x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{m})^{p^n} = x_{1}^{p^n} + x_{2}^{p^n} + \cdots + x_{m}^{p^n} \tag{$*$} \end{equation} が成り立つことを証明せよ.

解答例 1

$m$ に関する数学的帰納法により証明する.

$m=1$ のときは明らかである.

$m=2$ のとき, $x_1x_2=x_2x_1$ ならば $(x_{1}+x_{2})^{p^n} = x_{1}^{p^n} + x_{2}^{p^n}$ が成り立つ.

$m>3$ とし, $m-1$ のとき ($*$) が成り立つと仮定する. $x_{1}$, $x_{2}$, $\ldots$, $x_{m}$ は積について互いに可換であると仮定したから, \begin{align*} &(x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{m-1})x_{m} \\ &= x_{1}x_{m}+x_{2}x_{m}+\cdots+x_{m-1}x_{m} \\ &= x_{m}x_{1}+x_{m}x_{2}+\cdots+x_{m}x_{m-1} \\ &= x_{m}(x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{m-1}). \end{align*} このとき, \begin{align*} &(x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{m})^{p^n} \\ &= (x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{m-1})^{p^n} + x_{m}^{p^n} \\ &= x_{1}^{p^n} + x_{2}^{p^n} + \cdots + x_{m-1}^{p^n} + x_{m}^{p^n}. \end{align*} よって, $m$ のときも ($*$) が成り立つ.

したがって, すべての正の整数 $m$ に対して ($*$) の成り立つことが証明された.

最終更新日:2011年11月02日

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