$p$ を素数とする. $R$ を標数 $p$ の環とする. $x$, $y\in R$ とし, $xy=yx$ であるとする. このとき, 任意の正の整数 $n$ に対して, \begin{equation} (x+y)^{p^n} = x^{p^n} + y^{p^n} \tag{$*$} \end{equation} が成り立つことを証明せよ.
解答例 1
$n$ に関する数学的帰納法により証明する.
$n=1$ のとき, 二項定理により, $$ (x+y)^p = \sum_{r=0}^{p}\binom{p}{r}x^{p-r}y^{r}. $$ $1\leq r\leq p-1$ のとき, $\displaystyle\binom{p}{r}$ は素数 $p$ で割り切れるから, $$ (x+y)^p = \binom{p}{0}x^{p} + \binom{p}{p}y^{p} = x^p + y^p. $$ よって, $n=1$ のとき ($*$) は成り立つ.
$n>1$ とし, $n-1$ のとき ($*$) が成り立つと仮定する. そのとき, \begin{align*} (x+y)^{p^n} &= \bigl( (x+y)^{p^{n-1}} \bigr)^{p} \\ &= (x^{p^{n-1}} + y^{p^{n-1}})^p \\ &= (x^{p^{n-1}})^p + (y^{p^{n-1}})^p \\ &= x^{p^{n}} + y^{p^{n}}. \end{align*} よって, $n$ のときも ($*$) が成り立つ.
したがって, すべての正の整数 $n$ に対して ($*$) の成り立つことが証明された.
最終更新日:2011年11月02日