$a$, $r$ を正の整数とするとき, $$ a(a+1)(a+2)\cdots (a+r-1) $$ は $r!$ で割り切れることを証明せよ.
解答例 1
$p(a, r) = a(a+1)(a+2)\cdots (a+r-1)$ とおく.
問題の主張を, $r$ に関する数学的帰納法により証明する.
$r=1$ の場合は明らかである.
$r>1$ とし, 任意の正の整数 $a$ に対して $p(a, r-1)$ は $(r-1)!$ で割り切れることを仮定して, $r$ の場合を証明する. そのために, $a$ に関する数学的帰納法を用いる.
$a=1$ の場合, $p(a, r)=r!$ であるから, 問題の主張は明らかに成り立つ.
$a>1$ とし, $p(a-1, r)$ は $r!$ で割り切れると仮定する. そのとき, \begin{align*} p(a, r) &= a(a+1)(a+2)\cdots (a+r-2)(a+r-1) \\ &= a(a+1)(a+2)\cdots (a+r-2)(a-1) \\ &\qquad + a(a+1)(a+2)\cdots (a+r-2)r \\ &= p(a-1, r) + r\cdot p(a, r-1). \end{align*} $a$ に関する帰納法の仮定により, 右辺の第1項 $p(a-1, r)$ は $r!$ で割り切れる. また, $r$ に関する帰納法の仮定により $p(a, r-1)$ は $(r-1)!$ で割り切れるから, 右辺の第2項 $r\cdot p(a, r-1)$ は $r!$ で割り切れる. ゆえに, $p(a, r)$ は $r!$ で割り切れる. したがって, $r$ の場合にも, 任意の正の整数 $a$ に対して $p(a, r)$ が $r!$ で割り切れることが示された.
以上より, すべての $r$ に対して, 問題の主張は正しい.
最終更新日:2011年11月02日