$A$, $B$ を $\mathbb{R}$ の有界かつ空でない部分集合する. 任意の $x\in A$, $y\in B$ に対して, $x\geq 0$, $y\geq 0$ が成り立つとする. また, $$ AB = \{ xy \mid x\in A,\,y\in B \} $$ とおく. このとき, \begin{align*} \sup{AB} &= \sup{A}\sup{B}, \\ \inf{AB} &= \inf{A}\inf{B} \end{align*} が成り立つことを証明せよ.
解答例 1
$\alpha = \sup A$, $\beta=\sup B$ とおく. \begin{align*} x\in A,\, y\in B &\Longrightarrow 0\leq x\leq\alpha,\,0\leq y\leq\beta \\ &\Longrightarrow xy\leq \alpha\beta \end{align*} より, \begin{equation} \sup{AB} \leq \alpha\beta. \tag{1} \end{equation}
$A$ は上に有界であるから, ある実数 $M_1>0$ が存在して, 任意の $x\in A$ に対して, $x\leq M_1$. よって, $\alpha\leq M_1$ となる. 同様に, $B$ は上に有界であるから, ある実数 $M_2>0$ が存在して, 任意の $y\in B$ に対して, $x\leq M_2$. よって, $\beta\leq M_2$ となる. $M=\max\{M_1, M_2\}$ とおくと, 任意の $x\in A$, $y\in B$ に対して, $x\leq M$ かつ $y\leq M$. よって, $\alpha\leq M$, $\beta\leq M$ となる.
実数 $\varepsilon > 0$ を任意にとる. $\sup$ の性質より, ある $x\in A$ が存在して, $$ \alpha - \frac{\varepsilon}{2M} < x. $$ 同様に, $y\in B$ が存在して, $$ \beta - \frac{\varepsilon}{2M} < y. $$ よって, \begin{align*} \alpha\beta-xy &= \alpha(\beta-y)+(\alpha-x)y \\ &\leq M\cdot\frac{\varepsilon}{2M}+\frac{\varepsilon}{2M}\cdot M = \varepsilon. \end{align*} 一方, $xy\leq\sup{AB}$ と (1) より, $$ 0\leq \alpha\beta - \sup{AB}\leq \alpha\beta - xy. $$ ゆえに, $$ 0\leq \alpha\beta - \sup{AB} < \varepsilon. $$ $\varepsilon$ は任意だから, $\alpha\beta-\sup{AB}=0$. すなわち, $\sup{AB}=\alpha\beta$.
$\inf$ についても同様である.
最終更新日:2011年11月02日