有理数全体の集合 $\mathbb{Q}$ は可算集合であることを証明せよ.
解答例 1
すべての有理数は既約分数で一意的に表される. すなわち, 任意の $x\in\mathbb{Q}$ に対して, ある $p\in\mathbb{Z}$, $q\in\mathbb{N}\setminus\{0\}$ がただ1組存在して, $$ x = \frac{p}{q},\quad \gcd(p, q)=1 $$ が成り立つ. このとき, 写像 $$ \mathbb{Q}\longrightarrow\mathbb{Z}\times\mathbb{N}, \quad x\longmapsto (p, q) $$ は単射である. また, $2$ つの可算集合の直積は可算集合であるから, $\mathbb{Z}\times\mathbb{N}$ は可算集合である. ゆえに, 集合の濃度について, 不等式 $$ \lvert\mathbb{Q}\rvert \leq \lvert\mathbb{Z}\times\mathbb{N}\rvert = \lvert\mathbb{N}\rvert. $$ が成り立つ. 一方, $\mathbb{N}\subseteq\mathbb{Q}$ より $\lvert\mathbb{N}\rvert\leq\lvert\mathbb{Q}\rvert$ であるから, Bernstein の定理により $\lvert\mathbb{Q}\rvert=\lvert\mathbb{N}\rvert$ を得る. したがって, $\mathbb{Q}$ は可算集合である.
最終更新日:2011年11月02日