$D$ を $\mathbb{C}$ の領域, $f(z)$ を $D$ 上の正則関数とする. すべての $z\in D$ に対して $f(z)\in\mathbb{R}$ ならば, $f(z)$ は定数関数である. このことを証明せよ.
解答例 1
$\mathbb{C}$ の領域 $D$ に対応する $\mathbb{R}^2$ の領域を $D'$ とおく: $$ D' = \{ (x, y)\in\mathbb{R}^2 \mid x+y\sqrt{-1}\in D\}. $$ $z=x+y\sqrt{-1}$, $x$, $y\in\mathbb{R}$ とする. $D'$ 上の実数値関数 $u$, $v$ を $$ u(x, y) = \mathop{\mathrm{Re}}f(z),\quad v(x, y) = \mathop{\mathrm{Im}}f(z) $$ によって定める. 仮定より $v(x, y)=0$ であるから, $$ f(z) = u(x, y)+v(x, y)\sqrt{-1} = u(x, y). $$ さらに, Cauchy-Riemann の方程式により, $$ u_x=v_y=0,\quad u_y=-v_x=0. $$ $D'$ は領域だから, $u(x, y)$ は $D'$ 上の定数関数である. したがって, $f(z)$ は $D$ 上の定数関数である.
最終更新日:2011年11月02日