$K=\mathbb{R}$ または $\mathbb{C}$ とする. $V$ を $K$ 上の有限次元計量ベクトル空間, $W_1$, $W_2$ を $V$ の部分空間, $W_1^{\bot}$, $W_2^{\bot}$ をそれぞれ $W_1$, $W_2$ の直交補空間とする. このとき, $$ (W_1+W_2)^{\bot} = W_1^{\bot}\cap W_2^{\bot},\quad (W_1\cap W_2)^{\bot} = W_1^{\bot} + W_2^{\bot} $$ が成り立つことを証明せよ.
解答例 1
まず, 1番目の式を証明する.
$W_1$, $W_2$ はともに $W_1+W_2$ の部分空間であるから, $(W_1+W_2)^{\bot}$ は $W_1^{\bot}$ および $W_2^{\bot}$ の部分空間になる. ゆえに, $(W_1+W_2)^{\bot}\subseteq W_1^{\bot}\cap W_2^{\bot}$.
$x\in W_1^{\bot}\cap W_2^{\bot}$ とすると, 任意の $y\in W_1$, $z\in W_2$ に対して $$ (x\mid y+z) = (x\mid y) + (x\mid z) = 0 $$ が成り立つから, $x\in (W_1+W_2)^{\bot}$. よって, 逆の包含関係も成り立つ.
2番目の式は, 1番目の式において $W_1$, $W_2$ に $W_1^{\bot}$, $W_2^{\bot}$ を代入することによって得られる. すなわち, \begin{align*} (W_1^{\bot}+W_2^{\bot})^{\bot} &= (W_1^{\bot})^{\bot} \cap (W_2^{\bot})^{\bot} \\ &= W_1\cap W_2 \end{align*} であるから, \begin{align*} (W_1\cap W_2)^{\bot} &= ((W_1^{\bot}+W_2^{\bot})^{\bot})^{\bot} \\ &= W_1^{\bot} + W_2^{\bot} \end{align*} となる.
最終更新日:2011年11月02日