$a$, $l$, $m$, $n$ を与えられた正の実数とする. $$ x+y+z = a,\quad x>0,\quad y>0,\quad z>0 $$ のとき $x^ly^mz^n$ を最大にする実数の組 $(x, y, z)$ を求めよ.
解答例 1
まず, $f(x, y, z) = x^ly^mz^n$, $g(x, y, z) = x + y + z - a$ とおき, \begin{align*} & C = \{ (x, y, z)\in\mathbb{R}^3 \mid g(x, y, z) = 0\}, \\ & D = \prod_{i=1}^3(0, a),\quad \overline{D} = \prod_{i=1}^3[0, a],\quad \partial D = \overline{D}\setminus D \end{align*} とおく. $\overline{D}$ は $D$ の閉包であり, $\partial D$ は $D$ (および $\overline{D}$) の境界である.
$f(x, y, z)$ は $\overline{D}$ 上連続であり, $\overline{D}\cap C$ は $\mathbb{R}^3$ の有界閉集合なので, $f(x, y, z)$ は $\overline{D}\cap C$ 上で最大値と最小値をとる. また, $\overline{D}$ 上では常に $f(x, y, z)\geq 0$ である.
$f(x, y, z)$ は $D$ 上 $C^1$ 級である. そこで, 条件 $g(x, y, z)=0$ のもとでの $f(x, y, z)$ の極値を与える点を Lagrange の未定乗数法で求める. \begin{align*} F(x, y, z, \lambda) &= f(x, y, z) - \lambda g(x, y, z) \\ &= x^ly^mz^n - \lambda(x + y + z - a) \end{align*} とおき, 連立方程式 \begin{align*} \frac{\partial F}{\partial x} &= lx^{l-1}y^mz^n - \lambda = 0, \\ \frac{\partial F}{\partial y} &= mx^ly^{m-1}z^n - \lambda = 0, \\ \frac{\partial F}{\partial z} &= nx^ly^mz^{n-1} - \lambda = 0, \\ \frac{\partial F}{\partial \lambda} &= a - (x + y + z) = 0 \end{align*} の解のうち $(x, y, z)\in D$ を満たすものを求めると, $\lambda=0$ のときは $x$, $y$, $z$ のいずれかが $0$ になるので除外され, $\lambda\neq 0$ のときにただ1つの解 \begin{align*} & x = \frac{al}{l+m+n},\quad y = \frac{am}{l+m+n},\quad z = \frac{an}{l+m+n}, \\ & \lambda = \left( \frac {a}{l+m+n} \right)^{l+m+n-1}l^lm^mn^n \end{align*} が得られる. この $(x, y, z)$ を $(x_1, y_1, z_1)$ とおく.
$\partial D\cap C$ で $f(x, y, z)$ は最小値 $0$ をとる. 実際, 閉区間 $[0, a]$ に属する任意の実数 $s$, $t$, $u$ に対して, $f(0, t, u) = f(s, 0, u) = f(s, t, 0) = 0$ である. したがって, $$ (x_1, y_1, z_1) = \left(\frac{al}{l+m+n}, \frac{am}{l+m+n}, \frac{an}{l+m+n}\right) $$ において $f(x, y, z)$ は最大値をとる.
最終更新日:2011年11月02日