$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

$n$ を正の整数とする. 平面上の $n$ 個の点 $$ P_i = (x_i, y_i)\quad (i=1, 2, \ldots, n) $$ が与えられたとき, それらの点からの距離を $2$ 乗したものの和が最小になる点を求めよ.

解答例 1

$\mathbb{R}^2$ 上の関数 $$ f(x, y) = \sum_{i=1}^n\bigl( (x-x_i)^2 + (y-y_i)^2 \bigr) $$ が最小になる点を求めればよい.

連立方程式 \begin{align*} f_x(x, y) &= 2\sum_{i=1}^n(x-x_i) = 0, \\ f_y(x, y) &= 2\sum_{i=1}^n(y-y_i) = 0 \end{align*} を解くと, $$ x = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^nx_i,\quad y = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^ny_i $$ がただ1つの解である. この $(x, y)$ を $(x_0, y_0)$ とおく.

$f(x, y)\to\infty$ ($\sqrt{x^2+y^2}\to\infty$) より, ある実数 $M>0$ が存在して, 任意の $(x, y)\in\mathbb{R}^2$ に対して, \begin{equation} \sqrt{x^2+y^2}\geq M \Longrightarrow f(x, y) > f(x_0, y_0) \tag{1} \end{equation} が成り立つ. \begin{align*} D &= \{ (x, y)\in\mathbb{R}^2 \mid \sqrt{x^2+y^2} < M \}, \\ \overline{D} &= \{ (x, y)\in\mathbb{R}^2 \mid \sqrt{x^2+y^2} \leq M \}, \\ \partial D &= \overline{D}\setminus D = \{ (x, y)\in\mathbb{R}^2 \mid \sqrt{x^2+y^2} = M \} \end{align*} とおく. (1) の対偶より, $(x_0, y_0)\in D$ である. $\overline{D}$ は $\mathbb{R}^2$ の有界閉集合なので, $f(x, y)$ は $\overline{D}$ 上で最大値と最小値をとる. もし仮に最小値を与える点が $\partial{D}$ に属するとすれば, (1) に矛盾する. したがって, 最小値を与える点 $P$ は $D$ に属し, $f_x(P)=f_y(P)=0$ を満たす. ところが, そのような点は $(x_0, y_0)$ しかない.

以上より, 求める点は, $$ (x_0, y_0) = \left(\frac{1}{n}\sum_{i=1}^nx_i, \frac{1}{n}\sum_{i=1}^ny_i\right) $$ である.

最終更新日:2011年11月02日

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