$n$ を正の整数, $a_1$, $a_2$, $\ldots$, $a_n$ を正の実数とするとき, 不等式 $$ \frac{1}{\displaystyle \frac{1}{n}\biggl(\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_n} \biggr)} \leq \sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n} $$ が成り立つことを証明せよ.
解答例 1
各 $a_1$, $a_2$, $\ldots$, $a_n$ の逆数に対して相加相乗平均の関係を適用すると, \begin{equation} \frac{1}{n}\biggl(\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_n} \biggr) \geq \sqrt[n]{\biggl.\frac{1}{a_1}\cdot\frac{1}{a_2}\cdots\frac{1}{a_n}}\biggr. = \frac{1}{\sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}}. \tag{1} \end{equation} $a_1$, $a_2$, $\ldots$, $a_n$ はすべて正だから, 式 (1) の両端の辺はともに正である. よって, 逆数をとると, \begin{equation} \sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n} \geq \frac{1}{\displaystyle \frac{1}{n}\biggl(\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_n} \biggr)}. \tag{2} \end{equation} さらに, 式 (1) において $\geq$ のところでそれぞれ $>$, $=$ が成り立っていれば, 式 (2) において $\geq$ のところはそれぞれ $>$, $=$ になる. ゆえに, 式 (2) において等号が成り立つのは, 式 (1) において等号が成り立つとき, またそのときに限る. 再び相加相乗平均の関係より, 等号成立のための必要十分条件は $\displaystyle\frac{1}{a_1} = \frac{1}{a_2} = \cdots = \frac{1}{a_n}$ であり, これは $a_1=a_2=\cdots=a_n$ と同値である.
最終更新日:2011年11月02日