$\mathbb{R}$ 上の実数値連続関数 $f(x)$ で, 任意の $x$, $y\in\mathbb{R}$ に対して \begin{equation} f(x+y) = f(x)+f(y) \tag{$*$} \end{equation} が成り立つのは $f(x)=cx$ ($c$ は定数) の形のものに限ることを証明せよ.
解答例 1
まず, ($*$) より, 任意の正の整数 $n$ と任意の実数 $x$ に対して $$ f(nx) = \overbrace{f(x) + \cdots + f(x)}^{n} = n\cdot f(x) $$ が成り立つことを $n$ に関する数学的帰納法によって示すことができる. このことを用いると, 任意の正の整数 $m$, $n$ に対して, $$ n\cdot f(1) = n\cdot f\left(\frac{m}{m}\right) = mn\cdot f\left(\frac{1}{m}\right) = m\cdot f\left(\frac{n}{m}\right) $$ であるから, $$ f\left(\frac{n}{m}\right) = f(1)\cdot\frac{n}{m}. $$ また, $f(0) = f(0) + f(0)$ より, $f(0)=0$. さらに, 任意の $x\in\mathbb{R}$ に対して, $$ f(x) + f(-x) = f(x-x) = f(0) = 0 $$ であるから, $f(-x) = -f(x)$. したがって, 任意の $r\in\mathbb{Q}$ に対して, $f(r)=f(1)\cdot r$ が成り立つ.
$c=f(1)$ とおく. 任意の $x\in\mathbb{R}$ に対して, 有理数列 $(r_n)$ で $\displaystyle\lim_{n\to\infty}r_n=x$ となるものをとると, $f$ の連続性から, $$ f(x) = f\left(\lim_{n\to\infty}r_n\right) = \lim_{n\to\infty}f(r_n) = \lim_{n\to\infty}cr_n = cx. $$
最終更新日:2011年11月02日