整数環 $\mathbb{Z}$ のイデアルはすべて単項イデアルであることを証明せよ.
解答例 1
$I$ を $\mathbb{Z}$ のイデアルとする. $I$ が零イデアルならば $I$ は $0$ によって生成される単項イデアルである. 以下, $I$ は零イデアルでないと仮定する. そのとき, $I$ は $0$ でない $\mathbb{Z}$ の元 $a$ を含む. $\pm a\in I$ だから, $I$ は正の整数を少なくとも1つ含む. 自然数の整列性によって, $I$ に含まれる最小の正の整数 $b$ が存在する.
$n$ を $I$ の任意の元とする. $n$ を $b$ で割ると, ある $q$, $r\in\mathbb{Z}$ が存在して, $$ n = bq + r,\quad 0\leq r<b. $$ $I$ が $\mathbb{Z}$ のイデアルであることから, $$ r = n-bq \in I. $$ もし仮に $r\neq 0$ とすると, $b$ より小さい正の整数が $I$ に含まれることになり, $b$ の最小性に反する. よって, $r=0$ でなければならないから, $$ n = bq \in b\mathbb{Z}. $$ ゆえに, $I\subseteq b\mathbb{Z}$. 逆の包含関係は明らかだから, $I=b\mathbb{Z}$. すなわち, $I$ は単項イデアルである.
最終更新日:2011年11月02日