$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

$G$ を群とするとき, $G$ が指数有限の真の部分群をもてば, 指数有限の真の正規部分群をもつことを証明せよ.

解答例 1

$H$ を $G$ の部分群とし, $1<(G:H)<\infty$ であるとする.

$S(G/H)$ を集合 $G/H$ から $G/H$ 自身への全単射からなる対称群とする. 各 $a\in G$ に対して, 写像 $l(a): G/H \rightarrow G/H$ を, 各 $g\in G$ に対して $$ l(a)(gH) = agH $$ によって定めると, $l(a)$ は well-defined かつ全単射である. よって, 写像 $$ l:G\longrightarrow S(G/H),\quad a \longmapsto l(a) $$ が定まる. $l$ は群の準同型写像である. さらに, $\ker l$ は $G$ の正規部分群である.

準同型定理により, $$ G/\ker l \cong l(G) \subseteq S(G/H). $$ $(G:H)<\infty$ より, $S(G/H)$ は有限集合だから, $(G:\ker l) < \infty$ となる.

もし仮に $\ker l = G$ とすると, 任意の $a\in G$ に対して, $l(a)$ は恒等写像である. すなわち, 任意の $g\in G$ に対して, $agH=gH$ が成り立つ. 特に, $g$ が単位元のとき, $aH=H$. これより, $a\in H$ が得られる. ゆえに, $G\subseteq H$. したがって, $H=G$. これは $(G:H)>1$ であることに矛盾する. よって, $(G:\ker l)>1$ である.

最終更新日:2011年11月02日

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