Description: 無限回微分可能であっても解析的ではない例. $C^{\infty}$ 級関数であっても解析関数ではない例.
$\mathbb{R}$ 上の関数 $f(x)$ を $$ f(x) = \begin{cases} \displaystyle e^{-1/x}, & \mbox{$x>0$} \\ 0, & \mbox{$x\leq 0$} \end{cases} $$ によって定める. このとき, $f(x)$ は $x=0$ で解析的ではないことを証明せよ.
解答例 1
$f(x)$ は $x=0$ で無限回微分可能であり, $f^{(k)}(0) = 0$ ($k=1, 2, \ldots$) が成り立つ.
もし仮に $f(x)$ が解析関数だとすると, $x=0$ のある近傍で $x=0$ を中心に Taylor 展開できる. すなわち, ある実数 $\delta>0$ が存在して, 任意の $x\in (-\delta, \delta)$ に対して, \begin{align*} f(x) &= \sum_{n=0}^{\infty}\frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n = \lim_{n\to\infty}\left( \sum_{k=0}^{n}\frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k \right) \\ &= \lim_{n\to\infty}\left( \sum_{k=0}^{n}0\cdot x^k \right) = \lim_{n\to\infty} 0 = 0. \end{align*} ところが, $x_0=\delta/2$ とおくと, $f(x_0)>0$ かつ $x_0\in (-\delta, \delta)$. これは矛盾である.
最終更新日:2011年11月02日