$a_{1}$, $a_{2}$, $\ldots$, $a_{n}$ を整数とし, $$ I = \{ a_{1}x_{1} + a_{2}x_{2} + \cdots + a_{n}x_{n} \mid x_{1}, x_{2}, \ldots, x_{n}\in\mathbb{Z} \} $$ とおく. また, $d=\gcd(a_{1}, a_{2}, \ldots, a_{n})$ とおく. このとき, $I=d\mathbb{Z}$ が成り立つ. 特に, ある $x_{1}$, $x_{2}$, $\ldots$, $x_{n}\in\mathbb{Z}$ が存在して, $$ a_{1}x_{1} + a_{2}x_{2} + \cdots + a_{n}x_{n} = d $$ が成り立つ. このことを証明せよ.
解答例 1
自然数の整列性により, $I$ に属する正整数のうちで最小のものが存在する. それを $d$ とする. このとき, ある $u_{1}$, $u_{2}$, $\ldots$, $u_{n}\in\mathbb{Z}$ が存在して, \begin{equation} d = a_{1}u_{1} + a_{2}u_{2} + \cdots + a_{n}u_{n} \tag{1} \end{equation} と書ける.
$z\in d\mathbb{Z}$ とする. このとき, ある $x\in\mathbb{Z}$ が存在して, \begin{align*} z &= dx \\ &= (a_{1}u_{1} + a_{2}u_{2} + \cdots + a_{n}u_{n})x \\ &= a_{1}u_{1}x + a_{2}u_{2} + \cdots + a_{n}u_{n}x \in I. \end{align*} ゆえに, $d\mathbb{Z}\subseteq I$. 逆に, $z\in I$ とする. 除法の原理より, ある $q$, $r\in\mathbb{Z}$ が存在して, $$ z = dq + r, \quad 0\leq r < d. $$ 適当な $x_{1}$, $x_{2}$, $\ldots$, $x_{n}\in\mathbb{Z}$ をとって, $$ z = a_{1}x_{1} + a_{2}x_{2} + \cdots + a_{n}x_{n} $$ と書けば, $$ r = a_{1}(x_{1}-u_{1}q_{1}) + a_{2}(x_{2}-u_{2}q_{2}) + \cdots + a_{n}(x_{n}-u_{n}q_{n})\in I. $$ ところが, $d$ の最小性により, $r=0$ でなければならない. ゆえに, $z=dq\in d\mathbb{Z}$. したがって, 逆の包含関係もいえて, $I=d\mathbb{Z}$ が示された.
$a_{1}$, $a_{2}$, $\ldots$, $a_{n}\in I=d\mathbb{Z}$ より, $d$ は $a_{1}$, $a_{2}$, $\ldots$, $a_{n}$ の公約数である. また, $a_{1}$, $a_{2}$, $\ldots$, $a_{n}$ の任意の公約数 $d'$ に対して, $$ d'\mid (a_{1}u_{1} + a_{2}u_{2} + \cdots + a_{n}u_{n}) = d. $$ ゆえに, $d$ は $a_{1}$, $a_{2}$, $\ldots$, $a_{n}$ の最大公約数である.
問題の最後の主張は, (1) より明らかである. あるいは, $d\in I$ であることからわかる.
最終更新日:2011年11月02日