$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

Keywords: 除法の原理

$a$, $b$ を整数とし, $b>0$ であるとする. このとき, $$ a = bq+r,\quad 0\leq r< b $$ を満たすような整数 $q$, $r$ がただ1組だけ存在することを証明せよ.

解答例 1

まず, $q$, $r$の存在を示す. $\mathbb{Z}^{+}$ を正の整数全体からなる集合とし, $$ r_{1}=\min\{ x\in\mathbb{Z}^{+} \mid \mbox{ある整数 $q$ が存在して, $a=bq+x$} \} $$ とおく. 自然数の整列性により, このような正の整数 $r_{1}$ の存在が保証される. いま, ある整数 $q_{1}$ が存在して, $$ a=bq_{1}+r_{1} $$ であるとする. もし仮に $b<r_{1}$ ならば, $$ 0<r_{1}-b<r_{1},\quad a = b(q_{1}-1) + (r_{1}-b) $$ となって, $r_{1}$ の最小性に反する. ゆえに, $r_{1}\leq b$ である. $r_{1}<b$ のとき, $q=q_{1}$, $r=r_{1}$ とおけばよい. $r_{1}=b$ のとき, $q=q_{1}+1$, $r=0$ とおけばよい.

次に, 一意性を示す. そのために, \begin{alignat*}{2} a &= bq+r,&\quad &0\leq r <b, \\ a &= bq'+r',&\quad &0\leq r' <b \end{alignat*} とする. もし仮に $q\neq q'$ ならば, $$ b(q' - q) = r'-r $$ より, $$ b\leq b|q'-q| = |r'-r| \leq \max\{r,\,r'\} < b. $$ これは矛盾である. したがって, $q=q'$, $r=r'$ でなければならない.

最終更新日:2011年11月02日

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