標数 $m$ の環 $R$ は, $\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$ と同型な部分環を含む. さらに, $m\neq 1$ のとき, その部分環は零環を除いて $R$ の最小の部分環である. このことを証明せよ.
なお, $m=0$ のとき, $\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}=\mathbb{Z}/\{0\}\cong\mathbb{Z}$ であることを注意しておく.
解答例 1
$0_{R}$ を $R$ の零元, $1_{R}$ を $R$ の単位元とする.
環の準同型写像 $$ f:\mathbb{Z}\longrightarrow R,\quad n\longmapsto n\cdot 1_{R} $$ を考えると, $$ \ker{f} = \{ n\in\mathbb{Z} \mid n\cdot 1_{R} = 0_{R} \} = m\mathbb{Z} $$ であるから, 準同型定理により, 環の同型 $$ \mathbb{Z}/m\mathbb{Z} \cong f(\mathbb{Z}) $$ が得られる. $f(\mathbb{Z})$ は $R$ の部分環であり, $$ f(\mathbb{Z}) = \{ n\cdot 1_{R} \mid n=0,1,\ldots,m-1 \} $$ と表される.
$m\neq 1$ のとき, $1_{R}\neq 0_{R}$ より $f(\mathbb{Z})\neq\{0_{R}\}$ である. また, $R$ の任意の部分環 $S\neq \{0_{R}\}$ に対して, $1_{R}\in S$ であるから, $f(\mathbb{Z})$ の元をすべて含む. よって, $f(\mathbb{Z})\subseteq S$ となる. したがって, $f(\mathbb{Z})$ は零環を除いて $R$ の最小の部分環である.
最終更新日:2011年11月02日