$$ \newcommand\bm[1]{\boldsymbol{#1}} \renewcommand\limsup{\varlimsup} \renewcommand\liminf{\varliminf} $$

$R$ を環, $0_{R}$ を $R$ の零元, $1_{R}$ を $R$ の単位元とする. このとき, 次の条件はすべて同値であることを証明せよ.

(i) $R$ の標数は $1$ である.

(ii) $1_{R}=0_{R}$.

(iii) $R$ は零環である.

解答例 1

(i)$\Leftrightarrow$(ii) $R$ の標数が $1$ であることは, 加法群 $R$ における $1_{R}$ の位数が $1$ であること, すなわち $1\cdot 1_{R}=0_{R}$ を意味する.

(ii)$\Leftrightarrow$(iii) $1_{R}=0_{R}$ とすると, 任意の $x\in R$ に対して, $$ x=x\cdot 1_{R} = x\cdot 0_{R} = 0_{R}. $$ ゆえに, $R\subseteq \{0_{R}\}$. 逆の包含関係は明らかだから, $R=\{0_{R}\}$.

逆に, 零環においては, 単位元と零元とが一致するから, $1_{R}=0_{R}$.

最終更新日:2011年11月02日

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