$n$ を正の整数, $r$ を整数とし, $0\leq r\leq n$ であるとする. このとき, 二項係数 $$ \binom{n}{r} = \begin{cases} \displaystyle\frac{n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1)}{r!}, & \mbox{$1\leq r\leq n$ のとき}, \\ 1, & \mbox{$r=0$ のとき} \end{cases} $$ は整数であることを証明せよ.
解答例 1
$r=0$ のとき, $\displaystyle\binom{n}{0}=1$ は定義なので, 整数であることは自明である.
$r\geq 1$ とする. $a=n-r+1$ とおくと, $a$ は正の整数である. そこで, $a(a+1)(a+2)\cdots (a+r-1)$ が $r!$ で割り切れることを用いる. $n=a+r-1$ であるから, \begin{align*} \binom{n}{r} &= \frac{n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1)}{r!} \\ &= \frac{(n-r+1)\cdots (n-2)(n-1)n}{r!} \\ &= \frac{a(a+1)(a+2)\cdots (a+r-1)}{r!} \end{align*} は整数である.
解答例 2
多項式環 $\mathbb{Q}[X]$ において, 二項定理により, 与えられた $n$ に対して, $$ (1+X)^n = \sum_{k=0}^{n}\binom{n}{k}X^k $$ が成り立つ. $X^r$ の係数を比較すると, 左辺の多項式における $X^r$ の係数は整数なので, 右辺の多項式における $X^r$ の係数 $\displaystyle\binom{n}{r}$ も整数でなければならない.
最終更新日:2011年11月02日